十人十色の人生劇場

こんにちは、易徳大有です。

 

人の好みや考え方は「十人十色」とは昔からよく言われていることですが、

今回は普段常識というレベルで私たちが捉えている、

人の多様性の背景について考えてみたいと思います。

 

人の人生はそれこそ千差万別、

バラエティに富んだストーリーです。

 

育った環境がその後の人生を決めるとか、

家庭環境や親子の相性で性格も決まる、

といった考え方もあると思います。

 

しかし、どのような環境でも同じ空間に複数の人がおり、

別の空間でも必ず同じような境遇の人間はいるものです。

 

にもかかわらず、その後の人生はまさに十人十色。

改めて考えてみると不思議なものですが、

 

実に人はみな「異なる現実」を持っていて、

現実を見る視点に差異があり、

現実を捉える世界観が異なるのです。

 

苦しい環境をバネにして、人生を飛躍させる人。

苦しい環境を理由に、人生を恨み諦める人。

恵まれた環境に感謝して、他人に貢献する人生を選択する人。

恵まれた環境に溺れて、怠けて楽な人生を選択する人。

 

同じ境遇でインプットされた風景も、

生き様という形でアウトプットされた姿は十人十色です。

 

そう、人はどのような状況や環境でも「主観」で全てを捉え、

「主観」で意思決定するしかない生き物なのです。

 

客観もあると思いたいところですが、

常に「自分」というフィルターを通す以上、

残念ながらこの世界には「主観」しかないのです。

 

まさに自作自演の人生劇場というわけです。

 

そこで、人は自分と向き合うしかないと内観してみたり、

カウンセリングを受けてみたり、本当の自分探しを始めてみたり。

 

主観しかないならば、自己と向き合うというアプローチは的を得てはいますが、

ここにも見えないトラップが仕掛けられているのです。

 

それが、「言葉の二重構造」という概念です。

 

例えばベンツという車をイメージしてみて下さい。

 

ベンツという言葉そのもの(シニフィアン)と、

イメージされたベンツという高級車の姿(シニフィエ)という

二重構造で認識がなされたことにお気づきでしょうか?

 

さらに、ベンツはドイツの自動車会社、ダイムラーが所有する乗用車。

という事実(デノテーション)の側面と、

 

ステータス、金持ちで裕福な人、できる大人、見栄、モテる、カッコイイ等々。

目に見えないブランドイメージ(コノテーション)という

これまた二重構造になっていることにお気づきになると思います。

 

しかも人の認識は目に見えない脳裏に映し出されたイメージ、

シニフィエコノテーションという側面に、

圧倒的に支配されていることにお気づきになると思います。

 

このように言葉には音(聴覚)や文字(視覚触覚)という事実の側面と、

その言葉からイメージされるその人なりの印象や感情という、

「主観」の側面があるところがアウトプットに差異を生むということです。

 

この辺りはとても深い概念ですが、

 

ぜひ一度意識的に何気ない言葉一つに対して、

事実と自分のイメージはどんな言葉で表現できるか?

また同じ言葉に対して、

他人はどんなイメージを持ちどのような言葉で表現しているか?

 

その違いを改めて見つめてみると面白い気づきがあると思います。

 

涙あり笑いありの十人十色の人生劇場。

十人十色の「性格」というフィルターを通し、

インプットとアウトプットを繰り返す十人十色の人生劇場。

 

これを「運命」と呼ぶのですね。

 

では今日はこの辺で、

またお会いしましょう。